<あらすじ>
江戸根津権現近くにある「よしの」というもぐりの娼家では、年嵩で古株の女郎、お滝を筆頭におしま、お若、しげる、ともえといった女郎達が、日毎夜毎に春をひさいでいた。
氷雨篠突く師走のある夜、お滝とお若は客の取り合いが原因で喧嘩をしてしまう。
そこに、一人の男が通りかかる。女郎たちは彼を取り合うが、お滝の眼の力に吸い寄せられる様に、男はお滝の客となる。その夜以来、男はお滝の許へ足を運ぶ様に成ったが、いつも寡黙で、お滝を抱こうとはしなかった。
一層深く男に想いを寄せていく。お滝は、客には十七歳といいながら、実際は二十四歳の大年増で、五歳になる隠し子迄いるのだ。更に、岡っ引の根岸の政次の手先を努め、金を貰って犯罪者を密告している。根岸の政次は、お滝に「馴染みのあのあの客に刺青が有るか、確かめてくれ」という。戸惑うお滝。果たして、そこには・・・・・。